erg/doc/JA/faq_technical.md
Cai Bingjun a9d45b743c trifle
2022-10-15 15:24:56 +08:00

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# 技術的なFAQ
[![badge](https://img.shields.io/endpoint.svg?url=https%3A%2F%2Fgezf7g7pd5.execute-api.ap-northeast-1.amazonaws.com%2Fdefault%2Fsource_up_to_date%3Fowner%3Derg-lang%26repos%3Derg%26ref%3Dmain%26path%3Ddoc/EN/faq_technical.md%26commit_hash%3D1b3d7827bb770459475e4102c6f5c43d8ad79ae4)](https://gezf7g7pd5.execute-api.ap-northeast-1.amazonaws.com/default/source_up_to_date?owner=erg-lang&repos=erg&ref=main&path=doc/EN/faq_technical.md&commit_hash=1b3d7827bb770459475e4102c6f5c43d8ad79ae4)
本項はErg言語を使用する上での技術的な質問に答えるものです。すなわち、WhatやWhichで始まる質問、Yes/Noで答えられる質問を載せています。
根本的な文法の決定経緯については[こちら](./faq_syntax.md)を、なぜこの言語を作ったのか、この機能はどのように実装されているのかなど、より大きな話題は[こちら](./faq_general.md)を参照してください。
## Ergに例外機構はないのですか?
A: ありません。Ergでは代わりに`Result`型を使います。なぜErgに例外機構がないのかは[こちら](./faq_syntax.md#なぜergには例外機構がないのですか)を参照してください。
## ErgにはTypeScriptのAnyに相当する型はないのですか?
A: ありません。すべてのオブジェクトは少なくとも`Object`クラスに属しますが、この型は最小限の属性を提供するのみの型で、Anyのように好き放題はできません。
`Object`クラスは`match`などによる動的検査を通し目的の型に変換して使用します。Javaなどの`Object`と同じ類です。
Ergの世界では、TypeScriptのようにAPIの定義を辿ったらAnyだったという絶望・混沌は生まれないのです。
## Never, {}, None, (), NotImplemented, Ellipsisは何が違うのですか?
A: `Never`は「起こりえない」型です。実行時エラーを出すサブルーチンが、`Never`(または`Never`の合併型)を戻り値型とします。これを検知するとプログラムはすぐさま停止します。`Never`型は定義上すべての型のサブクラスでもありますが、`Never`型オブジェクトは決してErgコード上に出現しませんし、生成もされません。`{}``Never`と等価です。
`Ellipsis`は省略を表すオブジェクトで、Python由来です。
`NotImplemented`もPython由来です。これは未実装を表すマーカーとして使われますが、Ergではエラーを出す`todo`関数の方を推奨します。
`None``NoneType`のインスタンスです。`Option`型でよく使われます。
`()`はユニット型であり、そのインスタンス自身でもあります。これはプロシージャの戻り値など「意味のない値」を返したいとき使われます。
## なぜ`x = p!()`は有効なのに`f() = p!()`はEffectErrorとなるのですか?
A: `!`は副作用の産物につけるマーカーではなく、副作用を起こしうるオブジェクトに付けるマーカーだからです。
プロシージャ`p!`や可変型`T!`は副作用を起こす可能性がありますが、例えば`p!()`の戻り値が`Int`型だった場合、それ自体はもう副作用を起こしません。
## PythonのAPIを使用しようとしたとき、Pythonでは有効だったコードがErgでは型エラーになりました。これはどういうことですか?
A: ErgのAPIはなるべくPythonのAPIの仕様に忠実に型付けられていますが、どうしても表現しきれないケースもあります。
また、仕様上有効でも望ましくないと判断した入力(例えば、intを入力すべきところでfloatを入力してもよい仕様など)は、Erg開発チームの判断により型エラーとする可能性があります。